アイリッシュ音楽研究会合宿レポート20050503.04

 

<メシ炊きアンディーの合宿日記>  by ぅあんどー

 「ぅあんどー、合宿の日、覚えとるか?」 「え、たしか、3日4日ですよね……?」 「アンディー、合宿の日は何日か覚えてる?」 「あ、ええ。五月の3日と4日ですよね?」 「合宿がいつあるか……」 「だから、3日と4日ですよね?!」

  今年は去年よりも日程の確認がおおい気がした。 一昨年とその前の年は確かに日を間違えた。だからか、ここぞとばかりに皆「日程間違えるなよ?」と突っ込んでくる。心配してくれているのだと考えればありがたい事なのだが……。

 と言う訳で当日、なんとか起きて同じアイ研メンバーのしょうさんと合流。午前中には出発できた。集合の予定は13:00。後2時間はある。空は快晴。気温もそんなに悪くない。絶好のドライブ日和だった。

 余裕で到着するだろう。と、思ったのがあまかった。名神高速道路にのり、渋滞に巻き込まれ、湖西道路にのり、渋滞に巻き込まれ……到着は15:00になりそうな予感がした。さすが日よりのいいGWだ。混雑すると分かっていても皆出かけずにはいられないらしい。とりあえず僕たちは、先に食材の買出しに行く事になった。今日の夕飯と明日の朝食の分だ。買出しを終え、現地に到着したのは結局16:00になってしまった。つまり、なにが言いたいのかと言うと、お昼にあったライブの様子がさっぱり分からずレポートしようがないって事なのだ! 胸を張るような事じゃない……。

 とにもかくにも、到着したらそのまま夕飯の準備開始となった。去年お米を炊いた実績があってか、今年の僕は食料班の責任者になってしまっていた。だが、お米はもうすでに誰かが炊いていた! 「米、ちゃんと炊けるん人が他におったら、ぅあんどー、この合宿に必要ないやん」 どうやら存在意義を失ったらしいが、そんな事ではへこたれない。とりあえず、体裁を繕うためにいろいろ指示らしき物をとばしてみた。だが、そんなものは不必要なくらいに周りがテキパキしていた。そのお陰で予定よりも早く準備が終わり、早めの夕食となった。今回の夕食も焼肉である。買ってきたお肉をお皿に並べたところ、圧倒的な存在感。実際に少し残ってしまうくらいだった。

 今回の参加者は20名。去年よりやや少ないくらいだ。 食事が始まってすぐになぜか卑猥な話が始まったりするが、そこは伏せておこう。そして間もなくクヌギさんが帰ってしまう。どうやら忙しい中、お昼のライブのために来てくれたらしい。そして入れ替わりのように金子さんが到着。これで後1人来れば予定の参加者が全員揃う。やや遅くなるようだったので先に自己紹介を始めた。が、簡単に初参加の人が自己紹介するにとどまった。

 それからしばらくしてす氏から重大発表があるとの発言。皆が何事かと耳を向けると、本当に驚く内容だった。 「この合宿で、フィールドセッションCD第二段を録音します!」 「食事の片付けが終わったらスパルタ練習会をします!」 実行委員長であるうみんどさんが続ける。どうやら本気の本気らしい。 途中うみんどさんのクイズ大会(?)もありつつ、食事が終了する。後片付けも手馴れたもので、テキパキとすませ、いよいよ練習会となった。

 楽譜が配られ、皆が目を通す。まずはその中で皆がどの曲を知っているか、できるかを調査し始める。まずは皆ができる曲を調べて、それを練習しようというす氏の意図だ。決定したのLast Chance。ノリのいいポルカである。これでどういう練習をするのか? 次の言葉を待っていると、とりあえず合わせてみようという話になる。普通 にユニゾンで普通に伴奏し、そして終わる。 何をさせたいのだろう?  そう思っていると、次は「他の人の音をよく聞いて、リズムの頭を意識してやってみよう!」という。初心者がバランスよく入るチームが組まれ、A、B、伴奏の3チームに別 れる。そして曲の最初パートを繰り返すのだ。 最初はAと伴奏チーム。次にBと伴奏チーム。これを繰り返し、バトンタッチする『頭』を意識しようというのだ。これによって揃える、リズムを保つ事を大事にしようという意図らしい。

  僕ではきっとす氏の思惑を完全に伝えきれないだろう。なぜなら僕が生きてきた以上に音楽に携わっている人の思考を、若輩者が完全に語れる訳がないからだ。す氏による『アイリッシュ音楽についての再考』これが今回の合宿、最大の目的だと思われた。これだけは断っておくが、す氏は決して今活躍しているアイリッシュ音楽家を否定している訳ではない。このあたりの話はぜひ直接す氏に聞くか、メールマガジン『クランコラ』などをご覧頂きたい。

  本題に戻ろう。練習はそれを繰り返し、最後はA、B、伴奏チームと完全に別 れた。A、Bはそれなりに効果を上げたが、逆に伴奏チーム(主に僕)が酷い事に……僕だけ「他人の音を聞ききすぎ!」と、反対の事を言われた。どうも、人の音をききすぎて、頭がやや後打ちになっているらしい。言われて見れば、セッションでも他の人の音を聞いてから、コードを弾いたりするので納得がゆく。とりあえず、普段の練習は大切だと身にしみた。 それからは個々の練習となった。

 しかし、思いもしなかった珍客が乱入したため、個人練習というよりも少しセッション雰囲気に。その珍客とは、仕事の関係で在日しているアイルランドの人達だった。GWでこっちへ来てキャンプをしているらしい。偶然ここを通 りかかり、アイリッシュ音楽を耳にして尋ねてきたようだ。 なんでこんなところでアイリッシュ!? と思っていたようで、確かに言われて見ればそうだろう。僕たちがアイルランドに行って、いきなり演歌や盆踊りが聞こえてくるようなものなのだ。驚かない方が不思議かもしれない。僕たちにしてみれば日常的にCDなり他の人の演奏なりを聴いているから、アイリッシュはさほど珍しくもないが、やはり他からみればまだまだ珍しい音楽なのかもしれないと思った。

 彼らが帰ってからも時間はまだあった。早めに寝る人もいれば、明け方まで演奏の練習をしている人も。僕も4時くらいに寝た。

 

  そして合宿二日目に突入。僕は食事当番なので7時には起きてご飯の支度。外は寝た時より少し明るくなった程度だった。早起きして手伝ってくれる人も多く、朝ご飯の用意もすぐにできた。メニューは焼き肉(昨日の残り)、ご飯、なめこ汁、卵、サラダだ。 朝食が終わった後は再び自由時間。

 セッション・レコーディングは13:00〜16:00の予定だった。 少し練習の前にフリーマーケットへと出かけて見た。今日も快晴だ。恒例だが、合宿の日程は虹の市の日取りと同じなのである。ぶらぶらと歩いてみるが、これといってめぼしい物は見つからなかった。初参加の時などは、他の民族音楽(フォルクローレだったかな?)をやっている人達がいたが、今年はいないようだ。

 民宿に戻ると、人が少ない。むしろ朝食の時より確実に減っている。みんな朝食が終わってから再び寝てしまったようだった。それならしょうがないと起きている数人で練習を始めた。昨日す氏に言われた事を意識しての練習だ。そうこうしている内に13:00となるのだが、誰もいない。人が増えない。まだまだ二度寝から目覚めないらしい。民宿玄関ではアニメさんが一人でセッション・レコーディング&ライヴの準備をしている。他の人をはりきって起こしに行く人もおらず、しばらく放置していたが、さすがにまずいという事になり、皆を叩き起こす事に。その間、お昼ご飯にと朝あまったもので、おにぎりをつくる。お味噌汁も温めた。

 そしていよいよセッション・レコーディング開始。曲ごとに誰がはいって、誰が抜ける、と言うのを決めてあった。僕は3チェーン目からだったのだが、なんとその一曲目で見事にギターの1弦が切れる。代えも持ってきていなかったのでもうどうしようもない。そのまま演奏していたが、悔いの残る演奏となってしまった。とりあえず、一通 り演奏し終え、もう一回やりたいものを募って再演する。そしてレコーディング終了とあいなった。

 出来上がった録音はまだ聴いていないのだが、どんなものになるのか心配せずにはいられない。非常に楽しみでもあるが、自分の演奏を聴くのが怖くもある。もう少し自分の演奏が安心して聴けるように練習をつまなければ。後悔先に立たずとはよくいったものだ。 もし、無事にこのセッションCDが出来上がれば、合宿参加者には配られるようだ。参加者各個人にとっては、これからの練習につながるすばらしい教材になることは間違いないだろう。

  総じて今回の合宿は、アイ研のアイリッシュ音楽に対する向上心が目に見えるような合宿だった。今までが少し遊びすぎていたという反省もあったのだろう。とにもかくにも、これからアイリッシュをやろうという人、アイリッシュ音楽をやっていて壁にぶつかった人、適当にアイリッシュをやっていた人に喝がはいった事は間違いない。

おわり


 

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